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■ 固定電話再入門 (2006年05月16日)

後日追記) 2006年10月、日本テレコムは ソフトバンクテレコムへ社名変更しました。現在では日本の固定電話会社は、NTT東・西(加入電話)、KDDI (メタルプラス)、ソフトバンクテレコム(おとくライン)の4社が競合しています。()内は各社の固定電話の商品名です。----ここまで

 一般になじみの深い固定電話は、NTTの「加入電話」が長く続いてきましたが、平成13年(2001年)から始まった「マイライン」から話が少し難しくなりました。そして平成16年(2004年)末には、KDDIの「メタルプラス」、日本テレコムの「おとくライン」などの新しい固定電話サービス(NTTの加入電話に対して、直収電話といいます)が始まりました。
 この直収電話に対抗して、NTTグループはNTTコミュニケーションズ(NTTコム)のマイライン「プラチナ・ライン」を投入し、固定電話の世界が益々分りづらくなってきました。
 今回は、急速に利用者数が増えている?らしい、NTTコムの「プラチナ・ライン」を中心に、固定電話の世界を改めて探ることにします。まず、「マイラインと直収電話」の復習から始めましょう。

<マイラインの復習>
 2001年から始まった「マイライン」は、ユーザー宅から交換機まではNTTの設備を使い、そこから先はユーザーが「マイライン」で選んだ電話会社のネットワークに自動的に接続される仕組みです。その先も必ずNTTの交換機を通り、通話先へ接続されます。



 マイラインは、予め利用する電話会社を登録しておき、通話は自動的にその電話会社のネットワークに接続するサービスで、次の4つの通話区分ごとに電話会社を選んで登録します。通話料金はそれぞれの電話会社から請求されますが、基本料金はこれまで通りNTT東西から請求されます。
 (1)市内通話 (2)県内市外通話 (3)県外通話 (4)国際通話

<直収電話の復習>
 これに対して「直収電話」は、「ドライカッパー」(ユーザー宅とNTT局間の未使用の電話回線)をNTTから借り受け、さらにNTT局舎内に自前の交換機を設置して、全てを自前でする固定電話サービスです。
 東西NTTからのドライカッパーの貸出し価格は、従来はかなり高価でしたが、この料金算定法が問題になり、東西NTT は2003年秋にドライカッパーの料金を月額400円程度引き下げました。(月額 NTT東が1,290円、NTT西が1,399円)



 直収電話は平たく言えば、NTTと同じ固定電話設備を持つ電話会社が、新しくできたということです。これでNTTの「加入電話」に加えて、KDDIの「メタルプラス」、日本テレコムの「おとくライン」と、3つの固定電話会社が競合することになりました。
 そして直収電話サービスに加入することは、「NTTと縁を切る」ことを意味します。マイラインはNTT東西の交換機を経由することを前提としているので、直収電話会社に変更するとマイラインの概念はなくなります。

<マイラインの接続料>
 さて、マイラインは受信者も発信者もNTT東西の交換機を経由しているので、マイラインの電話会社は発信側と受信側の両方について、東西NTT に「接続料」(2004年の場合、3分当たり4.37円)を支払わなければなりません。つまり、接続料だけで3分8.74円必ずかかってしまいます。



 マイラインでは電話会社がNTTに払う接続料は、コストの中でかなりの部分を占めています。これに対して、ドライカッパーを使う直収電話ではユーザーがNTTの加入電話に発信した場合、東西NTTに支払う接続料は受信者側の3分4.37円だけで済みます。単純に言ってコストが半減するわけです。さらに、NTTの加入電話から電話を受ける場合は、接続料を受け取ることになり、発信者と受信者が共に直収電話なら、そもそも接続料そのものが発生しません。

<固定電話市場の活性化>
 直収電話会社が出現したことで、ユーザーにとっては固定電話の選択肢が広がり、料金的なメリットが出始めています。従来のNTTの加入電話の料金も値下げされました。
 例えば、都市部(3級局)では月額1,837.5円の基本料金が、月額1,785円へと52.5円値下げされ、プッシュ回線の利用料金の月額409.5円も無料となりました。また、通話料金の明細を電子化すると、月額105円を割り引くというサービスも新たに始まりました。
 さらに、NTTグループが従来のマイライン戦略を変更して、契約形態や料金体系を変えた新サービス、NTTコムの「プラチナ・ライン」を投入しました。ふたを開けてみると、「プラチナ・ライン」は予想を上回る勢いで伸びているようです。

<プラチナ・ライン>
 もともと、マイラインが始まった当初のNTTグループの戦略は、市内と県内市外はNTT東西が担当し、県外と国際はNTTコムが担当するという、住み分けがされていました。ここに来て直収電話に対抗するため、NTTコムのマイラインを、市内と県内市外も含めて全4区分を一括契約することで、通話料金を割り引くサービス「プラチナ・ライン」を始めたわけです。


 
 上図 の「定額料0円」はわざとらしく、紛らわしい表現ですね。「○○の定額料0円」のような○○の説明もないし、「NTT基本料0円」でもありません。(NTT基本料は別途必要です)
 それはさておき、プラチナ・ラインが躍進している理由は、大きく2つあります。1つは、直収電話の最大メリットといえる料金面でほぼ拮抗していることです。基本料金は東西NTTが既に引き下げており、自動的に直収電話と同等となり、その差は都市部(3級局)の加入電話で月105円です。そしてプラチナ・ライン通話料金も、直収電話とほぼ同じくらいのようです。
 2つ目は、直収電話のデメリットといえる移行時の負担が少ないことです。新サービスへと移行しても、ADSLサービスや付加サービスなどユーザーの環境はそのままでよい。直収電話の場合のような、「使える、使えない」といった細かいことを気にする必要がありません。

<マイラインの壁:接続料の高騰>
 いいことづくめに見えるプラチナ・ラインですが、行く手が順風満帆というわけではないようです。電話サービスを提供するための原価にあたる接続料の高騰です。マイライン電話会社は、2003年から始まった接続料の上昇に、音を上げ始めています。
 NTTコムのプラチナ・ラインは、接続料をいままで通り東西NTTへと支払うマイラインのサービスですから、こうした接続料高騰の影響をまともに受けます。一般にユーザーからの料金収入の4〜5割が接続料と言われており、NTTコムの電話サービスの料金収入はおよそ年間4,500億円、これから類推するとNTTコムは年間2,000億円もの接続料を、東西NTTに支払っている計算になります。
 ところが直収電話であれば、東西NTTなど他社からの着信時に、逆に接続料をもらえます。つまり発信と着信の通話トラフィックが同じであれば、接続料の支払いがゼロとなります。KDDIと日本テレコムが、直収電話へと移行した最大の理由が接続料の回避でした。
 事実、現在のKDDIと日本テレコムは、マイラインよりも接続料の影響を受けない直収電話に営業主力を移しているようです。ということは、マイラインの仕組みは既に崩壊に向かっているということでしょうか。

<IP電話・光電話とどちらを選ぶ?>
 直収電話もプラチナ・ラインもかなり安いとはいえ、日本全国同一料金のIP電話や光電話に比べると見劣りがします。格安電話をリードするのがIP電話や光電話であるという事情は変わっていません。
 ただ、電話を主に使用し、インターネットは余り使用しないというユーザーにとっては、直収電話やプラチナ・ラインは、コスト削減の手段として検討に値するはずです。