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■ マイラインと直収電話 (2006年02月18日)

 「直収電話」? 聞きなれない言葉ですが、KDDI が「メタルプラス」、日本テレコムが「おとくライン」という愛称で、今売り出し中の固定電話サービスです。「電話加入権料は不要で、基本料金も通話料もNTTより安いですよ」 と宣伝していますが、強引な勧誘でトラブルもあるようです。
 ちなみに、直収電話に対して従来のNTTの固定電話は「加入電話」といいます。

 通信ベンチャー「平成の異端児」 平成電電が、2003年7月に直収電話サービス「CHOKKA」に初めて乗り出しましたが、昨年10月に破綻、新聞やTV に大きく報じられました。 2004年後半には、KDDI とソフトバンク傘下に入った日本テレコムも、相次ぎ直収電話に参入し、積極的な広告やセールスを展開しています。

 たかが固定電話というなかれ!、現在の固定電話の仕組みはかなり複雑になっています。トラブルに巻き込まれないために、今回は「マイライン」の仕組みの復習と、「直収電話」の現状と問題点を見ていきましょう。
(このエントリーのマイラインと直収電話の図は All About から借用しました)

<マイライン>
 従来の固定電話は、ユーザー宅から交換機まではNTTの設備を使い、そこから先はユーザーが「マイライン」で選んだ電話会社のネットワークに自動的に接続される仕組みです。その先も必ずNTTの交換機を通り、通話先へ接続されます。

 「マイライン」は、予め利用する電話会社を登録しておき、通話は自動的にその電話会社のネットワークに接続するサービスで、次の4つの通話区分ごとに電話会社を選んで登録します。
 (1)市内通話 (2)県内市外通話 (3)県外通話 (4)国際通話
 また、「マイラインプラス」は、いつでも同じ電話会社を利用するサービスです。 マイライン/マイラインプラスは、通話料金はそれぞれの電話会社から請求されますが、基本料金はこれまで通りNTT東西から請求されます。

<直収電話>
 「直収電話」 は、電話会社がNTT局舎内に交換機を自前で設置 し、その電話会社の交換機に、電話線を直接収容する電話サービスです。平たく言えば、NTTと同じ固定電話設備を持つ電話会社が、NTTの他にできたということです。
 NTT には局舎や回線の他社への開放義務があり、直収電話会社はNTT局舎やユーザー〜NTT局間の電話線を、NTTから借りて運用します。直収電話の発想は、IP電話や光電話に向かう時代に、いまさら古典的な固定電話に逆戻り?という気もしますが、NTT独占の領域に競争会社ができることは、ユーザーにとっていいことかもしれません。

 

 上図は直収電話のイメージ図で、通話元と通話先が同じ直収電話に加入している場合を示しています。通話先がNTTと契約している場合は、直収ネットワークからNTT交換機へ接続されます。
 直収電話サービスに加入することは、「電話をNTTから他社へ乗り替える」、言い換えれば「NTTと縁を切る」ことを意味します。また、マイラインは、NTT東西の交換機を経由することを前提としているので、直収電話会社に変更するとマイラインは無効になります。

 家庭内は従来の電話機・電話番号と回線をそのまま利用でき、110番や119番などの緊急通報も利用できます。
 直収電話会社は、全ての設備を自前で運用しますから、直収電話の料金体系も自由に設定できます。NTTのような電話加入権料をなくし、基本料金と通話料もNTTより安く設定しています。

 注:電話加入権料(施設設置負担金)
 NTTの電話加入権料は2005年3月1日以降、従来の72,000円から半額の36,000円に値下げされています。NTT東西は加入権料について、「回線建設費用に必要な負担の一部を加入者に求めた一時金であり、月々の基本料を割安な水準に設定することで、既にユーザーに還元している」として、解約時の返還には応じていません。

<トラブル>
 直収電話は、利用者に固定電話をNTTより安く提供し、会社の収支もOKの筈でしたが、なかなかそうも行かず新規契約は伸び悩んでいるようです。
 まず、NTTコムがマイライン「プラチナ・ライン」を始め、価格を直収電話とほとんど同じに設定しました。「おとくライン」などの直収電話と同時にサービスを開始しましたが、寝た子を起こしたというか、「マイライン」の見直しに火をつけた勢いで回線数を伸ばしているようです。

 直収電話への移行に伴う会社側の説明不足や利用者側のハヤトチリで、「そんなはずではなった」「聞いていない」 ともめることも多いようです。その主なものは、プロバイダの変更を強いられたり(メールアドレスも変更になる)、使えない電話番号があることです。

1.プロバイダの変更に係わる問題:
 今のADSLサービスはNTTの「加入電話」を前提に契約が作られています。直収電話では電話局とユーザーを結ぶメタル線の管理が、NTT東西から直収電話会社に移り、これに伴ってADSL接続契約を、NTT東西から直収電話会社に結び直す必要が出てきます。
 ブロードバンドで直収電話会社とライバル関係にあるプロバイダは、この契約変更に当然及び腰です。その結果、「メタルプラス」は自社の「DION」のみ、「おとくライン」は「Yahoo! BB」しか利用できない、そのADSL に変更するにしても時間がかかったり、メールアドレスも変わってしまう、こういう現実があります。
 一般のプロバイダのホームページには、ネットトラブルを起さないように、「直収電話にすると当社のADSL は使えなくなります」という趣旨の内容が記されています。

2.掛けられない電話番号がある問題:
 多くのプロバイダが全国同一のダイヤルアップのアクセスポイントとして使っている0570番号(ナビダイヤル)が使えない、一部のフリーダイヤルなど掛けられない番号がある、「転送電話」や「迷惑電話おことわりサービス」のようなオプションサービスの一部が利用できない、ということもあります。