私の趣味: 模型作り

箕面地区会員 新屋和夫

■ 1. はじめに

 私は少年時代から物を作るのが好きで、鉱石ラジオから始まり単レンズのカメラ、スーパー受信機、テレビ、オウディオ、テープレコーダー等々を手がけてきましたが、首振り蒸気エンジンとボイラーでは挫折してしまいました。工具としてハンドボールしか無かったのですから、まともな機械物を作るのは無理でした。いつか蒸気エンジンを作りたいと願っていましたが、定年を機に最小限のささやかな加工機械を手に入れ、模型のライブスチームの世界に入ろうと決めました。
ライブスチーム入門書
ライブスチーム入門書
 ただ、日本ではライブスチームへの入門書、書籍、雑誌記事などが殆どなく、どこから入って何を作ればよいのか考えあぐねていました。このようなときにたまたま見つけたのが、平岡幸三さんの「生きた蒸気機関車を作ろう(図解ライブスチーム入門)」(機芸出版社刊)という本でした。幸運なことにこの本は素晴らしい本でした。

 簡単ながら素晴らしいデザインの機関車を題材にして、丁寧に製作上の要点を豊富なイラストと図面、写真で説明されており、読んだだけでこれは作りたい、作れると言う気にさせられます。模型工作の必携の書と思います。

 この出会いのおかげで、平岡さんが執筆されているアメリカの”LIVE STEAM”誌を知り、機関車以外の蒸気エンジン、スターリングエンジン などの世界を知ることができました。それから、定年後の仕事の合間を縫って機関車の製作に取りかかり、3年ほど自作の楽しみ、機械加工の面白さをたっぷり味わいました。

 現在は舶用の蒸気エンジンを作り、タグボートの船体を自作しています。私は出来上がった後、運転を楽しむというより、製作過程を楽しむ自作製作派といえます。削って、磨いて鋼鉄の奥深い輝きが現れてくるとき、本当に喜びを感じます。何もかも工夫しながら自分で作り上げる模型作りの楽しみをこれからも続けていきたいと思っています。


■ 2. 蒸気機関車

自作のペンシルバニアA3型
自作のペンシルバニアA3型
 「生きた蒸気機関車を作ろう」に従って製作しました。ペンシルバニア鉄道の入換用機関車です。

主要目:
・ スケール(縮尺): 1/16
・ ゲージ(軌間): 89mm
・ 車輪配列: 0−4−0
・ 動輪直径: 80mm
・ 最大長: 950mm
・ 最大幅: 176mm
・ 最大高: 251mm
・ シリンダー直系×ストローク: 22×32
・ バルブギア方式: ワルシャート式(原型はスチーブンソン式)
・ ボイラー: 銅製(煙管 3本)
・ 使用圧力: 7kg/cm2
・ 水圧試験圧力: 14kg/cm2
・ 燃料: 塊状石炭
・ 運転重量: 機関車:18kg
・ テンダ: 10kg
・ 牽引能力: 成人 3〜5人
自作蒸気機関車に乗る筆者
自作蒸気機関車に乗る筆者
自作蒸気機関車に乗る筆者
 製作期間は1〜2年が普通のようですが、定年後の仕事の合間に作業をしたこととボイラーの製作に失敗(水圧テストで水漏れが止まらない)して作り直した事などで3年かかりました。難しかったのはボイラーの他に、安全弁と逆止弁でこれが確実に機能しないと使いものにならず、それぞれ10個以上試行錯誤でつくりました。

 市販ねじ以外は圧力計を含めてすべて自作して模型作りの醍醐味を知りました。平岡さんには郵便で何度も丁寧にご指導を頂きました。

 運転は7メートルほどの線路で試運転的に行っただけで本格的な運転の環境に巡り合いたいと思っています。


■ 3. 蒸気船

自作タグボート
自作タグボート

船舶用蒸気エンジンとボイラ
船舶用蒸気エンジンとボイラ
 現在は蒸気機関搭載のタグボートを作っています。

■ エンジンとボイラー

 LIVE STEAM誌から発行されている "Steam and Stirling" 所載のJ.Gunnarsson氏設計のものを記事に従って制作しました。

・ エンジン: V型4気筒オシレイティングエンジン
・ シリンダー直径: 10mm
・ シリンダーストローク: 20mm
・ 回転数: 約1000rpm/2.1kg/cm2
・ 正逆転、スロットル弁、自動給油機を装備
・ ボイラー: 内径51mm×150mm長、水管式ボイラー
・ 最大使用圧力: 4kg/cm2
・ 給水: ハンドポンプと自動給水ポンプ
・ 燃料: ブタンガス(携帯コンロ用のハーフサイズボンベ)
・ 安全弁2基、水位計、圧力計を装備

 エンジンとボイラーは単一基台上にまとめ船体内に容易に着脱できるようにしています。

■ 船体部

蒸気エンジンを搭載した状態
蒸気エンジンを搭載した状態
 イギリスのエクセター海事博物館に保存されている1931年にデンマークで建造されたタグボートのSt.CANUTEの1/30に拡大して部品を自作しました。

・船体構造: 木造竜骨側板貼り付け構造
・サイズ: 全長900mm、幅250mm、高さ680mm

 例によって全部品自作(スクリュウとラジコン関係は市販品)ですから苦労連続ですが、それがまた楽しいんです。予備の水タンクをどこに積もうか悩んでいます。



■ 4. 仕事場と工具

書斎に設けた工作場
書斎に設けた工作場
 仕事場は書斎の片隅に作業台とミニ旋盤、ミニミリング盤、小定盤とハイトゲージ等を置き、グラインダー等はベランダに持ち出して使っています。銀ロウ付けプロパンガストーチでボイラー等の加熱をするときは大変な音がして近所迷惑ですから近くの高速道路の下の空き地に行って作業をしています。マンションの狭い部屋ですが、工夫をすれば結構工作場になります。ミニ旋盤はサカイのML360、ミニミーリング盤はサカイのMA360にテーブルを付けた物を使っています。ML360ではこの大きさの機関車が限界で127mmゲージ以上の大型車は無理なようです。



■ 5. 関連雑誌、書籍と出版社

 ライブスチームに関する雑誌の主なものは次の通りです。
  1. MODEL ENGINEER  英国、月2回
    ARGUS SPECIALIST PUBLICATIONS LTD
    P.O.BOX 35, WOLSEY HOUSE
    WOLSEY ROAD,HEMEL HEMPSTEAD
    HERTS HP2 4SS
    ENGLAND (100年以上続いている)
  2. LIVE STEAM  米国、隔月
    VILLAGE PRESS
    P.O.BOX 629
    TRAVERSE CITY, MICHIGAN 49685-0629 U.S.A
  3. 「生きた蒸気機関車を作ろう」平岡幸三 機芸出版社
    最近広告に載っていませんから絶版なのかもしれません。
  4. 「Steam and Stirling」
    「Steam & Stirling Book2」 VILLAGE PRESS
    スチームエンジン、スターリングエンジンのいろんな制作記事を掲載した書籍です。
  5. 「特殊構造を持つ機関車とライブスチーム」
  6. 「新装 ライブスチーム」 渡辺精一  誠文堂新光社
  7. 「ミニ旋盤を使いこなす本」 久島諦三
    「ミニ旋盤を使いこなす本(応用編)」 久島諦三  誠文堂新光社
  8. 森林鉄道用の“ハイスラー”、“シェイ”、“クライマックス”各タイプの機関車の製作書は平岡幸三さんが執筆され、VILLAGE PRESSから出版されています。英文ですが、丁寧でわかりやすい指導書です。