篠笛づくりの楽しみ
吹田地区会員 上田 義正

篠笛とは
牛若丸と弁慶の戦いの昔よりあり、お神楽や能舞などに使われてきた古典楽器です。
篠笛の材料となる篠竹は中国や日本に自生し、節間が45センチ以上もあります。それを笛の長さに切りとり、吹き口と指孔をあけて作ります。
吹き方は、吹き口に息を三分吹き込み、七分は外に逃がします。また、息の吹き込む角度と強弱により演奏します。
吹くとなかなか楽しい音色を発します。民謡、長唄、お神楽、能やお祭りなどお囃子には欠かせない楽器です。篠笛の用途はひろく、上記以外にも多様な演奏に用いることもできます。

篠笛作りのいきさつ
幼少より、父からお神楽の教えを受けていたのですが、その頃から篠笛の音色や太鼓の響きに心を動かされ始めました。30歳になって自分なりに篠笛を作ろうと思い立ち、子供の頃に使っていた練習笛や師匠から授かった笛を参考に作り始めました。私は今まで、神楽獅子保存会で20人以上の指導をしてきましたが、後継者の育成には安価で良質の篠笛が練習と本番に不可欠であり、自作によって何とか満足できる篠笛を会員にも供給したいと思ったのです。


(孔あけ作業をする筆者)

(ゆび孔の仕上げ加工)

篠笛作りに挑戦
篠笛を作り始めてはみたものの、音階が思うように出ないので苦労しました。しかし自分なりに研究をかさねて、やっと思い通りの音階を出すことに成功しました。次ぎに良い音色を出し、耐久性に優れた篠笛作りに挑戦してみることにしました。そのためには良質の篠竹の使用は前提条件ですが、それ以外に竹の肉厚や指孔の微妙な位置関係、吹き口や指孔の削り具合等々、細微なノウハウが必要であることを体得しました。音階も揃うようになり、今度は笛の演奏用途によって異なる1〜9本調子の笛それぞれを作る必要性がありました。そのためには、竹の長さや太さ、また今までの作成条件を変えて作る必要があることもわかってきました。なかでも良い笛を作るための材質については、100年以上を経た古家の囲炉裏に燻された竹は音色もよく、永年の使用にもひび割れや音色に狂いがこないこともわかってきました。

篠笛の調律と完成
篠笛には一つの吹き孔と七つの指孔がありますが、調律はこれらの孔の大きさ、孔と孔の間隔、孔の形状、孔の面取り状態や内径等々、すこぶる多岐にわたり工具を使って細工をくわえ、細工をくわえては何度となく吹いてみて根気よく調律します。調律が完成すると、いよいよ笛の内側と外側に漆を塗ります。外側は塗りと乾燥を三回繰り返して完成です。

工程の概略
 1. 材料の篠竹は全長45センチ以上の節の無いものをもとめる。
 2. 竹を約1年間陰干で乾燥させ、収縮させる。
 3. 用途に応じた笛の長さに切断する。
 4. 吹き口と指孔をあける箇所に治具ときりで印付けをしておく。
 5. 3ミリ〜8ミリのドリルで竹を割らないように逐次孔を大きくする。
 6. 専用の焼き鏝で吹き口と指孔の大きさを一定化する。
 7. 吹き口、指孔、竹の内径を専用ヤスリで仕上げる。
 8. 吹き口側の内径に紙とボンドで練り合わせた詰め物をする。
 9. 工具を使い試し吹きを重ねて調律をする。
10. 内側と外側に漆をぬり、完成。


(調律の試し吹きをする)

完成の喜びと奏でる楽しみ
手間暇をかけて一本の篠笛を完成させたときの喜びは言うまでもありません。また自作の笛で音を奏でる楽しさは格別です。何よりも神楽獅子保存会など多くの方々に自作の笛を使っていただく喜びはひとしおです。
楽器を奏でることは楽しいことです。篠笛を自由に操り演奏できるには5年程度の練習が必要だと思いますが、興味があれば挑戦してみてください。篠笛の楽しさがおわかり頂けると思います。