ひらかた昔ばなし「田虫退治の神」

田虫退治の神
― 渚に伝わる十六善神の霊験譚 ―

 枚方市の渚地区には、今から三百年ほど昔の出来事として語り継がれる「田虫退治の神」という民話が残されています。江戸時代のある年、渚村一帯では田畑に害虫が大量発生し、稲は葉を食い荒らされ、村人たちは収穫を諦めかけていました。農薬などない時代、虫害はそのまま飢えに直結する深刻な問題でありました。写真・イラストアニメはクリックで拡大できます。

 そんな時、村の佐兵衛という男が裏庭で不思議な光景を目にします。空から白いものがひらひらと舞い降り、庭の木に引っかかったのです。近寄ってみると、それは【 十六善神を描いた巻物 】でありました。佐兵衛は「これは天からの救いに違いない」と考え、巻物を丁重に祀り、村人たちとともに害虫退散の祈願を始めました。

祈りは七日七夜に及び、満願の夜には村人総出で松明を手に田畑を練り歩く「虫送り」が行われました。先頭には十六善神の巻物が掲げられ、村人たちは声を合わせて祈りを捧げながら田畑の畦道を進んだと言います。

 翌朝、村人たちが田畑に向かうと、そこには驚くべき光景が・・・。前日まで作物を覆い尽くしていた虫は跡形もなく消え、枯れかけていた稲は青々と蘇っていたのです。村人たちは十六善神の霊験に深く感謝し、後に巻物を祀るための小さな庵を建てました。これが「田中庵(でんちゅうあん)」と呼ばれ、のちに尼寺となりましたが、明治維新後に廃庵となり、祀られていた十六善神の巻物は現在、渚地区の寺院・西雲寺に伝わっていると言われていましたが、実際に住職にお尋ねすると、寺には無いとのこと、現在所在ははっきりしていません。ただこの行事は大正のはじめまで受け継がれ、ただの怪奇譚ではなく、自然災害に立ち向かった村人たちの祈りと連帯、そして地域の信仰の歴史を今に伝える貴重な民話であると思います。 
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以上

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参考資料:
「ひらかた昔ばなし」・・枚方市伝承文化保存懇話会冊子 発行:枚方市
イラストはAI(copilot, gemini )とやり取りしながら作成したオリジナル画像です。
写真は全て2026年6月に撮影した物です。

【HP作成:坂本 徳行】

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