枚方の施設 第11回 『枚方市 東部清掃工場』

第11回 『枚方市 東部清掃工場』

2010/7/21

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枚方市 東部清掃工場全景(東部清掃工場ホームページより)

東部清掃工場の概要
 穂谷川清掃工場(田口5丁目)の第2・第3プラントでごみの焼却処理をしてきたましたが、第2プラントの老朽化に伴い、東部清掃工場を平成16年から建設に着手し、平成20年12月に運用を開始しました。東部清掃工場は、穂谷川工場になかった灰を処理する溶融炉が設置されました。

正門からの工場  手前は管理棟 煙突は高さ100m その後は工場

 発生するごみの量は年々減少傾向ですが、昨年度年間で枚方市全体で発生したごみの量は、11万トン(焼却ごみ10万トン、プラスチック等の資源化ごみ1万トン)で、焼却ごみ10万トンの60%を東部清掃工場で処理しています。
 梅雨明けの大変暑さ厳しい7月21日に、東部清掃工場の畑本主任様と請関係長様から工場のご説明とご案内をして頂きました。

 ・ 所在地  枚方市大字尊延寺2949番地
 ・ 面 積   敷地80,600㎡・建築6,650㎡
 ・ 床面積  工場棟18,676㎡・管理棟1296㎡
 ・ 焼却処理能力 240トン/日 (120トン/日×2炉)
 ・ 建設費  140億円
 ・ 従業者  総員51名、内市職員16名

ごみ処理の工程
◆ごみの受け入れ
 収集車で工場に運ばれたゴミは、計量棟でゴミの重さを計った後、プラットホームからごみピットに投入します。ごみピットの容量は収集車800台分、6,000㎥(25mプールの約20倍)あります。
◆ごみの焼却
 ピット内のごみは、クレーンで燃焼炉の投入ホッパに投入され、給塵装置で焼却炉の中へ送られます。焼却炉の中には、乾燥、燃焼、後燃焼の順に3つの燃焼台が有り850℃以上の高温で焼却します。ごみは、他の燃料は使わずごみのみで燃焼させます。
◆熱エネルギーの有効活用
 焼却炉で発生した熱はボイラーで蒸気を作り、蒸気タービン発電機(最大出力4,500kw)で発電をします。一部は工場内で給湯として利用します。発電した電力は工場内で使用しますが、余剰分は電力会社に売電します。昨年度の売電金額は、約1億円ほどでした。
◆排ガスの処理
ボイラーから出た排ガスは、まず最初に濾過式集塵器で排ガス中の煤塵等を除去します。
次に湿式有害ガス除去装置で苛性ソーダを使用し塩化水素や硫黄酸化物を除去します。更に、触媒脱硝装置でアンモニアを触媒として利用し、窒素酸化物を除去します。
そして、最後に排ガスは、直径8m、高さ約100mの巨大な煙突から排出します。 
◆灰の処理(溶融炉)
焼却後の主灰と、排ガス処理過程で濾過式集塵器等で取り除かれた飛灰を溶融炉に集め、都市ガスバーナで1200℃以上の高温で溶かし、水槽へ滴下させて急冷し、ガラス状のスラグにします。元のごみとは全く別の形態になります。このスラグは道路用骨材に有効利用できます。
◆運転・制御(中央制御室)
工場は約300日、24時間稼動しています。(燃焼炉の掃除や機器のメンテナンスで年間数10日間運転を中断します)
中央制御室は1班6人の4班で24時間体制で運営しています。

環境保全対策
◆現敷地内の約45%は緑化し、敷地に植生していた稀少植物を移植し、回復育成しています。
◆ごみピット内の空気は燃焼用に吸引し、エアカーテンと高速シートシャッターをプラットホーム出入口に設けて、外気と遮断し臭気の漏洩を防止しています。
◆洗車場を建物内に設置し、臭気の漏洩を防止しています。
◆工場廃水は敷地内の排水処理設備で浄水処理し、一部は工場内で再利用しています。
◆ 雨水を貯留して、敷地内植栽の散水に有効利用しています。

4Rの推進
豊かな社会、快適な環境を未来に引き継ぐために、持続可能な資源循環型の社会をめざし、ごみを出来るだけ減らすことが重要です。そのために4Rの推進を基本にしながら東部清掃工場では安全・安定的に適正なごみ焼却処理を行っています。
【4R】とは、
◆Refuse(断る):買い物袋を持っていく。過剰包装を断る。
◆Reduce(減らす):ごみになるものを作らない、家庭に持ち込まない。最後まで使い切る。
◆Reuse(再利用):使えるものはもう一度使う。使っていない物をバザーに出したり、必要としている人に譲る。
◆Recycle(再資源化):ルールを守ってしっかりと分別する。再生品を利用する。

取材後の感想
1)枚方市の東北端、京田辺市に隣接する307号線沿い丘陵地に工場はあり、自然環境が素晴らしく良い所でした。
2)工場の中は、どの場所でも全く臭いはせず、ごみ処理工場とは思えない極めてクリーンな状況でした。特に排ガス自主基準値の項目では、窒素酸化物は法令基準の約15分の1など大変厳しい基準値を設定してその削減に取り組んでおられました。
3)工場見学会や出前の環境学習会で周知されていますが、より多くの枚方市民により深く理解していただくように働きかけるべきだと強く感じました。
4)持続可能な資源循環型の社会をめざすためにも、この4Rの推進が重要であることを認識するとともに、我々一市民として、この4Rを順守することの重要性を改めて思い知らされました。

 (取材:金箱、山添、倉橋、新藤、井須、レポータ:金箱)   WP編集:永井

 

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