枚方の大学 第1回 『大阪歯科大学』楠葉・牧野学舎

実施日:2008年11月27日取材

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秋雨のしとしとと降る10月14日に大阪歯科大学の楠葉学舎と牧野学舎を取材しました。大阪歯科大の客員教授で専門学校校長の末瀬様、松原様、総務課の松村課長様、仲宗根様にお話を伺いました。

大阪歯科大学の概要

★明治44年(1911年)に大阪歯科医学校として設立されました。わが国初めての国立の歯科医学専門学校は昭和3年(1928年)設立の東京医科歯科大学ですので、大阪歯科大学は国立より早く歯科医師の養成を行っており、2011年には創立100周年を迎える伝統ある大学です。

大阪歯科大学の学舎は、楠葉・牧野・天満橋の3拠点です。平成9年に歯学部が牧野から楠葉に移転し、グランド、体育館、テニスコート、クラブ部室などの福利厚生施設、歯科技工士専門学校、歯科衛生士専門学校が牧野に、附属病院は天満橋にあります。
卒業生は約15,400名おられます。全国の歯科診療所(歯科医)は67,000、大阪府には5,400あるとのことです。また、歯科医師は全国で約8万人おられるそうです。

なお、現在全国に歯学部がある大学は私立17校、国公立12校の合計29校で、関西地区では大阪歯科大学と大阪大学の2校のみです。

楠葉学舎(歯学部)の概要

★キャンパスは京阪樟葉駅くずはモール南側にあり、1・2号館は講義・実習棟、3号館が中央研究棟、4・5号館は図書館・パソコンとLL教室・事務室・食堂で学舎の正門右手に、800名を収容できる大講堂があります。

★楠葉学舎には歯学部(6年制)と大学院(4年制)があり、在学生は総員約900名、そのうち女性は約40%の構成です。なお、学部学生の募集人員は128名です。

第4学年 までは楠葉学舎で学び、5、6回生は天満橋の附属病院で臨床実習を主とした授業を受けます。外国からの研究生は少数ですが中国・米国・韓国から来られています。
卒業時、歯科医師の国家資格試験を受験します。全国平均合格率は76%強で、当大学は、ほぼ平均並みです。

★キャンパス施設の中で特異な存在は、ダーウィンの「種の起源」初版本や「解体新書」復刻版等の医学に関する古書が、図書館特別室に所蔵されていることです。図書館には約18万冊の蔵書がありますが、最近はWebから専門書をダウンロードできるので、蔵書の増加は少ないそうです。

★大学の教育課程は、統合型カリキュラムを採用し、必要な幅広い教養を身につけた優秀な歯科医師を育成しています。
大阪歯科大学の学生は、基礎科学教育、生命科学教育、健康科学教育、情報科学教育、英語教育、態度教育に分類される多くの科目(205単位)を6年間にわたり学びます。

特に第1学年では、大阪府下の社会福祉施設での体験学習と本学附属病院での早期臨床体験学習を受講します。これらの体験を通じて歯科医師としての自覚と動機付けを早期に身につけることをめざしています。

★大学の運営が基準に適合しているか、第三者(財団法人・大学基準協会)が国の法律に基づき7年に1回評価を行います。大阪歯科大学は、平成19年に申請し適合認定されました。

★枚方市の後援で大阪歯科大学公開講座が、来年2月から3月に亘り4講座開催されます。テーマは『「8020運動」支援病院としての取り組み 今,専門外来では!』です。入場は無料です。詳しくは072-864-3001大阪歯科大学公開講座係にお問い合わせください。

「8020運動」とは、「80歳になっても20本の歯を残そう!」という運動です。

牧野学舎(歯科技工士専門学校・歯科衛生士専門学校)の概要

★キャンパスは牧野駅から徒歩6分、片埜神社南東側に位置します。門を入ると鬱蒼とした樹木の間を石畳が大正浪漫を醸し出す本館へと続き、この本館は国の登録有形文化財に認定されています。本館東側に歯科衛生士専門学校が、西側の広いグランドの先に歯科技工士専門学校と体育館があります。
取材は歯科技工士専門学校を中心に行いました。

★歯科技工士専門学校は昭和39年に大学附属歯科技工士養成所として設立されました。 在校生は技工士が2年制で約70名、衛生士(全員女性)は3年制で約110名です。全国では歯科技工士専門学校が61校、歯科衛生士専門学校が156校ありますが、ここ数年は歯科技工士の応募者が少なく、各校とも運営が厳しいようです。

卒業時には歯科技工士、歯科衛生士の国家資格を取得し、就職先は歯科診療所・病院・歯科技工所・歯科機器メーカー・教育・研究機関等がありますが、当大学及び専門学校のOBからの求人募集がバックボーンとなっています。

★歯科技工士の免許を2年間で取得するため、「社会倫理学」「情報処理学」をはじめ「有床義歯技工学」「口腔インプラント学」等を、また、「歯・口腔の機能」「歯科材料・歯科技工機器と加工技術」等の専門基礎技術の習得に励んでいます。

特に義歯を作るために、金属・高分子材料・セラミック等を焼結、溶融・鋳造、レーザ溶接機等の専門機器の使い方や、切削・研磨技術を習得します。特にミクロン単位の精度を要求される最終仕上げは、機械ではなく人手による研磨技術そのもの(匠の技)です。

取材を終えて

歯は人にとって最も重要な器官であります。「8020運動」が提唱されて久しいが、長寿の人はすべからく歯が丈夫のようです。「八十八回ご飯を噛んでから食べなさい、だから米なんだよ」と子供のころ母に言われたことを思い出しました。顎は強くなり、消化に良い。おかげ様でこの年で歯は全て自前で虫歯もありません。私のような歯を持ってる人は少なく、やはり歯科医のお世話になる人が大部分であります。

歯科医を支えておられるのが技工士と衛生士です。歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士それぞれがチームワークよく患者と接して、「8020運動」が実を結ぶよう期待したいと思います。

なお、「大阪歯科大学」の詳細はこちらをご覧ください。

<取材:山添、冨松、岸本、藤田、井須、金箱 レポート:金箱 WP編集:梅原>

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