2008 社会見学会『京都南座 歌舞伎鑑賞』

2008年4月23日 

 例年の社会見学会は初秋の時期に実施しておりましたが、今年度は南座の歌舞伎鑑賞教室が春4月のみの興業となったため、2月からご案内しました。大変人気が高く130名の方の参加と なりました。
 観客席は全席フリーシートのため、地区委員が事前に入場券を参加者にお届けしました。当日は1時半に開場という事で1時頃から南座前は大変な人だかりでした。歌舞伎鑑賞教室ということで、高校生が授業の一環として団体で参加されていました。

 いよいよ2時開演。長唄お囃子に合わせて緞帳が上がり眩しいくらいの舞台は桜の花に道 成寺の釣鐘が中央より上手側に大きく下がっており、正面に2段の緋毛氈。上段には長唄連が7人、下段はお囃子連が7人、ご案内役の”桂 九雀”が袴姿に白拍子の烏帽子をつけ地唄に併せて舞いながら登場。
 「南座と歌舞伎」と題して約1時間。南座の成り立ちや建物の特徴(芝居の語源)、舞台装置(定式幕、上座、下座、平台、上げ台、檜舞台、黒御簾、花道)長唄お囃子連中の構成・役割、演目(英執着獅子・傾城・石橋もの)等の解説がありました。

 特に黒御簾(下座の舞台裏)での効果音を大太鼓の打ち方で雨・雪・風・ 川の水音などを表現する技を実演されたのは大変印象深かった。しかもお客様に舞台に上がっていただき大太鼓の体験をさせる趣向もあった。
 又花道への出端や引き込みの際、メインの役者が見えを切ったりするのは7:3の場所であること。主役の衣装の引き抜きや扇子等の小道具をさり気なく渡す黒子について等、部分ごとの実演を交えて”桂 九雀”は軽妙なユーモアと適度の押さえが利いて分かり易い解説であった。さすが落語家だなあと感心しました。
 その後休憩を挟んで、本日のメイン役者”上村 吉弥”演じる「英執着獅子」をじっくり鑑賞しました。約30分の所作事(舞踊)であったが、前半の傾城の艶やかな舞から後半は荒々しい獅子の精の舞に変化。特に獅子が橋の上下で立て髪を大きく旋回する舞は拍手喝采であった。
 歌舞伎役者は日頃の肉体の鍛錬を怠ると務まらない、また黒衣の存在なくして主役の活躍はありえないと強く感じた。本日の歌舞伎鑑賞教室を機に本来の演目を南座はもとより、松竹座でも鑑賞したいと思った。

(レポーター金箱)

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