2019年 社会見学会『天満天神繁昌亭 落語会』

2019年9月30日(月)

<始めに>

 今年の社会見学会は支部間交流の強化ということで、京阪地区3支部(枚方南・枚方北・交野)合同で天満天神『繁昌亭』で上方落語鑑賞会を開催しました。9月30日は暦の上では秋ですが、今年は厳しい残暑が続く中を、12組のご夫婦を含め56名もの会員様にご参加いただきました。
 13時 京橋駅前広場に集合し、支部役員の先導で繁昌亭に向かい出発しました。

 繁昌亭に到着、13時30分の開場までは暑さ凌ぎのためにビル陰で一休み、一番太鼓が鳴り入場、全216席は満席で、約半分は松愛会の会員様で占められ、パイプ椅子が出る人気でした。
 繁昌亭は今年の7月に全面的にリニューアルし、ロビーは拡張されゆったり感が溢れていました。また、昼席は14時開演で昼食を楽しんだ後に、全席指定でゆっくり笑いを楽しむことができました。

<本日の公演>

◆演目1:落語「平林」<月亭 天使>
・本名:福田 和栄
・月亭八方の孫弟子
・龍谷大学文学部哲学科卒

 商家の丁稚の定吉は医師の「平林(ひらばやし)」邸をたずねて手紙を届け、その返事をもらって来るよう店主から頼まれる。 その道中「ヒラバヤシ・・・」と繰り返しながら歩くが、結局行き先の名前を忘れてしまう。
 手紙に書かれた「平林」という字を読むことができないことに気づき、通りがかった人に次々と読み方をたずねることにする。たずねられた人は「タイラバヤシ」「ヒラリン」「イチハチジュウノモクモク(一八十の木木)」「ヒトツトヤッツデトッキッキ(一つと八つで十っ木っ木)」などと答えが違い要領を得ない。

 困った定吉は教えられた読み方を全部つなげて怒鳴ることにしたが、やがてリズミカルな歌のようになっていく。「タイラバヤシかヒラリンか、イチハチジュウノモークモク、ヒトツトヤッツデトッキッキ」。たまたま通りがかった顔見知り男に出会うと、定吉は泣きながら「お使いの行き先がわからなくなった」と訴える。男は「その手紙はどこに届けるのだ?」と定吉に聞くと、「はい、ヒラバヤシさんのところです」

◆演目2:落語「看板のー(ピン)」<月亭 方正>
・本名:山崎 邦正
・月亭八方一門
・立正大学心理学部卒

 博徒たちが退屈しているところへ、親分が現れ胴元になる。親分が壺ざるを振って伏せたところ、サイコロは中に入らず ピン(=1)の目が出たまま外に転がってしまうが、それに気づくそぶりを見せない。それに気づいた博徒達は、全員があり金をピンの目に賭ける。親分は「みんな揃ったな。このサイは片付けよう」と、見えていたサイコロを取り除いてしまう。

 「これは看板(=見せかけ)のピンだ。壺の中に本当のサイがある。俺の見立てでは5が出ているだろう」。こう言って親分が壺ざるを上げると、サイコロは親分の言う通り5の目が出ていたので、博徒たちは驚く。親分は賭け金を博徒達に返し、「賭けごとは、こういう汚い手が使われることもある。これに懲りたら博打(ばくち)はやめろ」といって賭場を去る。
 この場に居合わせた一人の男は、親分の真似をしようと他の賭場へ向かう。男は胴元になり、1の目が出たサイコロを壺ざるの外へこぼし、周りの者はこぼれたサイコロに気づく。賭け子の全員が1に賭ける。男が壺を上げると、 「あぁ、中もピンだ!」

◆演目3:落語「え×5」<林家 そめすけ>
・本名:林 将記
・林家 染丸 一門
・2012年 繁昌亭大賞 創作賞受賞
・堺市立工業高校機械科卒

 演目はここでは「え×5」と書きましたが、上記の写真から分かるように正しくは算数の「えの5乗」です。「どうでもええけど・・・」をつい頭に付けて喋る男と、「えっ?」と必ず聞き返してしまう男。この口癖が元でケンカする仲良しの男友達の噺でした・・・

◆演目4:マジック「スーパー変面 」<亜空亜 SHIN>
・12歳で深井洋正に師事
・大阪府立吹田東高校卒
・近畿大学経営学部卒

 亜空亜SHINは日本のマジシャン。 5歳の時に父親から金属の輪が繋がるチャイナリングというマジック道具を買ってもらったことがきっかけでマジックを始める。

 12歳で深井洋正に師事し、大学入学と同時にプロデビューする。その後、鳩やトランプを使い、音楽に合わせた軽快でアップテンポなステージマジックで、海外のマジック大会でも高評価を得ている。
 また、中国の伝統的な大道芸の1つ「変面」(仮面の早変わり術)を体得しており、日本人でのパフォーマーは数少ない。

◆演目5:落語「一文笛」<桂 花団治>
・本名:森 隆久
・桂花団治は上方落語の名跡、三代目
・大阪芸術大学芸術学部中退

 秀たちスリの仲間が集まっていると、今は堅気になっている兄貴分がやって来た。
兄貴分:「お前、なぜ角の駄菓子屋から一文笛を取ったんや」
:「あの駄菓子屋の強欲婆アが店先で、一文笛を手に取ろうとした粗末な身なりの子を邪険に、”銭のない子はあっちへ行け!” と突きよったんねん。むかっと来て、婆アの目かすめて、一文笛を一本抜き取って、そっとその子の懐に差し込んで帰ったんや。それがどないぞしたんかい」
兄貴分:「後先を考えず馬鹿な事してくれた。その後、その子が笛をピーピー吹いているのを、婆アが捕まえて、大声で泥棒呼ばわりして長屋の親の所へ引きずって行ったんや。母親は亡く、父親は病身で貧乏な家や。父親はてっきり子どもが盗んだものと思い、子どもの言うことには耳も貸さずに、”盗人するような子に育てた覚えはない、出て行け” の一点張り。子どもは大声で泣く泣く出て行ったが、しばらくして泣き声がしなくなった。路地で変な音がしたんで、みなが飛び出してみたら、可哀そうに子どもは井戸に身を投げたんや。すぐに引き上げて息は吹き返したが、まだ寝たきりや。子どもが可哀そうと思ったんやら、何でたかだか一本の笛を銭払うて買うてやらんねん」

:「すまん・・・勘弁してくれ」、と言ったかと思うと懐から匕首(あいくち)を取り出し、右手を敷居の上に乗せ、ポーンと指を二本切ってしまった。止める間もなくびっくりしている兄貴分に、「俺、今からスリやめる。堅気になる」
 一方の子どもはまだ生死の境をさ迷っているような状態だ。翌日、長屋の連中は洋行帰りで金持ちしか診ない医者を騙して長屋に連れて来て診てもらった。医者は入院させてあらゆる手立てを尽くさなければ、八割方死ぬだろうとの診立て。その費用は二十円もの前金払いと言う。秀は兄貴分からこんな話を聞いた。
:「その医者、もう帰ったんか」
兄貴分:「いや、帰りにまた酒屋に寄って、また蔵出しの酒飲んでいるがな」
これを聞くと秀は飛び出して行って、しばらくすると息をはずませて戻って来た。
:「兄貴、何も言わんとこの金で子ども入院さしたって。四、五十円はあるわ」
兄貴分:「お前、この財布どないしたんや」
:「酒屋から医者が酔うてふらふら出て来やがったんで、すれ違いしなにちょっともろて来たんやがな。この金で子どもを入院させて命がもう大丈夫ちゅうまで見逃してくれ、頼む」
兄貴分:「そら、命にかかわる事やさかい、見逃すも見逃さんもないが・・・。しかし、お前は名人やな。右指二本も切り飛ばして、ようこんだけの仕事がでけるなぁ」
:「実はわい、ぎっちょやねん」

-会場の大きな拍手で仲入りとなりましたー

◆演目6:落語「平(ひら)の陰」<笑福亭 右喬>
・本名:前之園 誠
・1992年 6代目笑福亭松喬に入門
・2013年 「第8回繁昌亭大賞」爆笑賞受賞
・大阪市立汎愛高校卒

 「無筆」つまり文字の読み書きができない、いわゆる「文盲」がテーマの落語である。昔の一般庶民は読み書きができない人は多かった。ところが、字が読めないのに知ったかぶりをする人にかかってしまうと、とんでもないことになってしまう。
 ある日、ご隠居のもとに八五郎が手紙を持ってやってくる。八五郎が言うには、自分は字の読み書きができない「無筆」であり、いつも自分のところへ来る手紙は近所の角にある、提灯屋の主人に読んでもらうようにしていた。だが、今日は提灯屋が不在のため、ご隠居なら若い頃の自身を学者先生だと自称していたので、字が読めるはずと思い頼みに来たというのである。

 しかし、ご隠居は実はただ物知りなだけで自身も本当は「無筆」であるため、最初は「鳥目だから読めない」などと言って追い返そうとする。それらは全て誤魔化しきれない嘘だと見破られるが、どうにか手紙っぽく読んで誤魔化そうとする。まず手紙の書き出しの典型的な例を言って、その中から八五郎に選ばせようとしたり、手紙の内容を全て書き出しの言葉だけで埋め尽くしたりするが当然、そんなでたらめで納得するわけがない。

 そこで今度は手紙をよこしてきそうな人物に心当たりがないかを聞き、どんな内容を書いてきそうかと言うことも問いただし、それで誤魔化そうとする。だが、受け取り主の名前は呼び捨てなのに、送り主の名前には敬称がつけられ、また明らかに書き言葉ではなく話し言葉で書かれているかのように読んだため、ついに無筆がばれる。そして窮地に立たされたご隠居は、上手いこと手紙の内容でごまかすのであった・・・

◆演目7:落語「近日息子」<笑福亭 生寿>
・本名:絹谷 亮介
・2007年 笑福亭生喬に入門
・奈良県立登美ヶ丘高校卒

 父親が息子の作次郎を叱っている。ある晩、息子が「中座で新しい芝居がかかる」と教えてくれたので、父親が次の日弁当を持って見に行ったら閉まっていたためだ。息子は看板にあった「近日より」の文字を見て、「一番近い日」=「看板を見た次の日」だと思ったという。
 父親は「違うがな。近日とは『そのうちにやります』という客の気を引くための文句やがな」と指摘し、他の例もあげてさんざん息子のアホぶりを嘆く。父親は「『近日』を出す商売人さんを見習うて、もうちょっと先繰り機転を利かせんかい。常に先を読め」と小言を述べるが、息子には一向に小言が効いた様子がない。あきれた父親は「頭が痛とうなった」と言って横になる。

 息子はすぐに医者を呼びに走る。医者は父親の脈を取るが、もともと別段の異常はない。しかし、医者が少し首をかしげるのを見た息子は、再び外に飛び出し今度は棺桶を買ってきた。父親は困惑するが、息子は「お父っつぁんが『先繰り機転を利かせ』言いまっさかい」と言って聞かない。
 医者や、棺桶をかつぐ息子を見た近所の長屋では、「あのアホんとこのおやっさん、死なはったんかいな」と大騒ぎになる。長屋の人たちは弔問に行ってみれば、父親は座ってタバコを吸っている。悔やみの挨拶を言おうと構えていた長屋の人たちは狼狽し、親子の家を出たり入ったりする。
 父親がとうとう「ええ加減にしなはれ。あんさんまでわしをからかうのですかいな」と怒り出すと長屋のひとりは言う。「おやっさん、表出て見なはれ。もうちゃんと鯨幕(くじらまく)張って、忌み札も付けてあって葬式の用意ができてますがな」
 驚いた父親は息子を責めるが、息子は「あはは、近所のみなさんもアホだすなあ」と平気でいる。「何でやねん」「よう見てみなはれ。忌み札に『近日より』と書いてあります」

◆演目8:落語「紙屑屋」<笑福亭 鶴二>
・本名:上田 忠正
・6代目笑福亭松鶴最後の弟子
・2011年 第6回繁昌亭大賞受賞
・近畿大学付属高校卒

 道楽のし過ぎで勘当され、出入り先の棟梁のところへ居候している若旦那。しかし、まったく働かずに遊んでばかりいるため、居候先の評判はすこぶる悪い。とうとうかみさんと口論になり、困った棟梁は、若旦那にどこかへ奉公に行くことを薦めた。
 「奉公に精を出せば、それが大旦那様の耳に届いて勘当が許されますから」。さて、若旦那が行かされた先は町内の紙屑屋(現在の古紙回収業)。早速いろいろとアドバイスを受け、主が出かけている間に紙の仕分けをやらされることになった。

 「エート・・・。白紙は、白紙。反古は、反古。陳皮は陳皮。エー・・・」 、早速仕事をやり始めるが、道楽していた頃の癖が抜けずに大声で歌いだしてしまいなかなか捗らない。挙句の果てには、誰かが書いたラブレターを見つけて夢中になって読み出してしまった。
 一度は正気に戻って仕事を続けるが、今度は都々逸の底本を見つけて唸り出してしまう。また正気に戻って仕事を続けるが、今度は義太夫の底本を見つけ、役者になった気分で芝居の真似事を始めてしまった。
 そこへ主が帰ってきて 、「何をやっているんですか? まったく、貴方は人間の屑ですねぇ・・・」
それに対して若旦那は 、「屑? 今選り分けているところです」

<終わりに>

 蝉の鳴き声が終わり秋の虫の音などに移り、芸術・行楽など何事を行うにも相応しい季節になりました。今年も多くの会員の皆様にご参加を頂き、ありがとうございました。松愛会の上田会長も一緒に参加されて、十分に楽しんでおられたご様子でした。
 食欲の秋は少し控えて健康のために、大いに笑い、体を動かしましょう! 今後もいろいろな支部行事が予定されています。奮ってのご参加・ご協力をよろしくお願いします。

写真:吉川、松島、徳田 資料提供:徳田 HP作成:冨松

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