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第61回「京都・学ぶ会」涌波まどか様(京焼・清水焼陶芸家)講演報告

 今回は、2022年1月の例会が新型コロナウイルスやオミクロン株の感染拡大のため中止・延期となったため、昨年の11月以来の開催となりました。3月28日(月)ラボール京都にて、36名の出席者の中で、京焼・清水焼陶芸家の涌波まどか様に、「伝統と革新」と題してご講演をしていただきました。
 涌波様はこのような講演会は初めてとのことでしたが、プロフィール、レジュメ、映像資料等を完璧に準備して頂きました。講演の話し方も大変滑らかで聞きやすく、初めての講演とは思えなませんでした。最初にご自身の紹介があり、1976年、福岡の民藝陶器で有名な小石原焼の14代続く窯元の4人姉妹の三女としてお生まれになりました。佐賀大学教育学部を卒業後、家業を継ぐ積りで、京都府立陶工高等技術専門校で2年間修業されました。そこで同級生だったご主人(隆さん/京焼・清水焼「蘇嶐窯」四代目)と出会われ結婚されました。実家の方は長女の入り婿が継がれました。
 最初の10年間は、ご主人のサポートにまわっておられましたが、その後京焼・清水焼(’練り込み青磁’等)と小石原焼(’飛び鉋’で知られる)とのコラボを夫婦で取り組まれ、7年前に「蘇嶐窯」を立ち上げられました。従来のやり方では、陶芸一本では食べて行く不安もあり、ご夫婦で新しいことに次々と挑戦されました。その一つは、「海外販路拡大」です。2016年からフランス、イタリア、台湾、オランダ、アメリカ、香港、上海などで、イベントに参加して作品の展示即売や実演等の活動を積極的に展開されました。
 また、外部とのコラボ作品としては、竹細工、パリの刺繍、京組紐などがあり、息子さんの夏休みの宿題から手掛けれた「縄文シリーズ」の火焔縄文土器や土偶などの作品もあります。更には、若い女性を対象にした「ceramic jewelry」の制作販売。家の中にある工房での陶芸体験教室や工房企画展の開催など次々と新しいことに挑戦されています。また国内のお得意先(レストランや料理店)との陶磁器のコラボ制作にも力を入れておられます。
 このようなご夫婦の活動の後ろ姿を見て育った息子さんが、小学校低学年に早々と五代目を継ぐと宣言され、今年高校3年生になられ将来が頼もしい限りです。まさに「伝統と革新」を実践して来られた経緯には感動を覚えました。
 マスコミもこのご家族(大学2年の娘も含め4人)を見逃しませんでした。2021年9月11日、ABCテレビの「LIFE~夢のカタチ~」で紹介されました。そのビデオを最後に拝見して、ほっこりした気分に浸りながら講演会を終えました。少しでしたが作品の一部を展示して頂きましたが、東山通(清水坂バス停下車)に面した工房を是非訪問してもっと多くの作品を手に取って鑑賞し、出来れば購入もしていただければと思います。最後に、「蘇嶐窯」の益々のご発展と五代目のご成長をお祈り申し上げます。

 

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