2024年度末に当たる2025年3月31日(月)に、「京都・学ぶ会」3月例会を開催しました。今回は『京人形ーその心とかたち』と題して、京人形司・彫刻家の岡本祥吾様にご講演をお願いしました。岡本様は、1982年14世京人形司面屋庄甫の長男として京都市にお生まれになり、今年43歳になられます。2002年大阪芸術大学彫刻科を中退されましたが、家業の京人形の制作と彫刻家としての創作の二刀流で活動されております。お父様が主宰されています「あまがつ会」には、第50回から現在まで継続して出品されており、他に「明日を担う京人形展」(高島屋美術画廊)、「京展」、個展と活躍の場を広げておられます。現在、京都工芸美術作家協会会員でもあります。
面屋の歴史は古く1709年(宝永6年)初代面庄は能面師で御所の出入りも許されていたとのことです。12代面屋庄次郎は「放下鉾」の「三光丸」という等身大の可動式の人形を作られ、今日まで継承されています。祖父の岡本庄三氏は五条大橋畔にある「弁慶牛若丸石像」でも知られていますが、やはり京人形司及び彫刻家として活躍され、大阪芸術大学名誉教授であり、人間国宝でもありました。父14世面屋庄甫は、京都市美術文化賞はじめ京都府文化賞功労章、京都市文化功労賞など多数の賞を受賞されており、伝統的な京人形と創作人形を制作発表されています。昨年中信美術館で「面屋庄甫の世界―その軌跡」の展覧会を開催されました。その血を引き継いだ祥吾さんは、歴史と伝統のある京人形司の名門「面屋」の次代を担う立場にありますが、京人形の他に「石や剣」の創作彫刻においても積極的な活動をされています。
講演は、最初に1.「京人形面庄について」そのルーツと歴史について語られました。続いて、2.「さまざまな京人形」として、依り代、天児人形、雛人形、御所人形、市松人形、三つ折れ人形を映像で紹介されました。人形の歴史と種類の多さを知ると共に、信仰の対象としての人形「人形代(よりしろ)」や「流し雛」他興味深い人形が多々ありました。3.「京人形の作り方」では、工程が多数ある制作手順が紹介されました。塑像(粘土)、長年寝かせた桐材(胡粉と膠との相性がいい)、木彫、胡粉(下・中・上塗り)膠、和歌張り、絵付け(開眼)の過程で色々な材料(日本画と殆ど同じ材料)や道具が使われることも知りました。4.「人形と作品解説」では、色々な人形を映像で拝見しました。どれも大変魅力的でした。身近に置いて愛でるのもいいなと感じました。5.「作品鑑賞―自然と人の形を感じる」では、面屋庄三の「人形は今を生きるひとのためにある」「精神性とは人形師の魂が人形に宿る」が印象に残りました。
ご自身の趣味についても話をされました。水墨画と書でした。文房四宝(硯、墨、筆、紙)の中で,古墨と古硯が好きとのことで蒐集もされており紹介もされました。最後に彫刻家としての作品を現物を展示して見せていただきました。実際の石の中にご自身が作られた「石」を混ぜて、どれが木で作られた作品かを見分けるのは大変難しかったです。「天睨剣」の作品は映像で紹介されました。今回の講演から、人形の世界の奥深さや神秘性等を感じることが出来ました。まだまだ話足りないようでしたが、又のご縁が繋がることを期待しつつ講演会を終了しました。参加者は39名でした。
- 西脇会長の挨拶と講師の紹介
- 本日の講師岡本 祥吾様
- プロジェクターで詳しい説明
- 講演の様子後ろから
- 講演の様子前から
- 人形の部品の展示
- 展示物を観察する皆さん
- 彫刻の石と自然の石を展示
- これは彫刻か自然石どちらでしょう









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