第80回「京都・学ぶ会」岩男考哲(いわおたかのり)様(神戸市立外国語大学・外国語学部教授)講演報告『珈琲を語る言葉』
2025年度最初の例会は、節目の80回目に当たります。5月26日(月)に「ラボール京都」で会員38名が出席して開催しました。今回は、神戸外大の岩男考哲教授(博士/言語文化学)に、『珈琲を語る言葉』と題して講演をしていただきました。先生は、1976年生まれの48歳で、宮崎県延岡市生まれで、現在は西宮市にお住まいです。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了のあと、大阪大学、同志社大学、龍谷大学、そして京都外国語大学等に非常勤講師として勤め、2016年から信州大学に。そこで講師、准教授を務めた後、2017年より現職。という経歴の持ち主です。専門分野は、日本語学(現代日本語)です。ご趣味は、喫茶店めぐり、珈琲を飲む/淹れるで、甘いもの全般がお好きで、アルコールは駄目とのことでした。
講演は先ず自己紹介から始まりました。珍しいお名前を、主語、動詞、目的語に分析され、、Rockman thinks philosophy.とされたのには、流石言語学者だと感じ入りました。今回のお話の目的は、珈琲を題材にして言語学的な観点から言葉の観察をし、併せて言語学者について少し知っていただきたいと前置きを述べられ話の本題に入られました。正直言いまして、私達一般人にとって言語学者と言われてもすぐにピンとは来ません。新しい表現に出会った時の二つの見方、規範的見方(一般人)と記述的見方(言語学者)から、徐々に言語学の世界に入り込みました。記述的見方とは言葉の存在を受け入れ、「なぜその表現が生まれたのか?」「意味は何か?」と問うとのことです。それに対して、一般人は言葉に対して受け入れられるか違和感を覚えるかという見方をします。岩男先生は、金田一春彦「日本学(上)(下)」との出会いにより、それまでの文法のイメージが一変して、「日本学」(現代日本語)にはまって行かれました。その過程については今回は触れられず、本題に入りました。
言語学の世界では言葉の働きをどう捉えているかを紹介されました。「言葉を学ぶ」と聞いた時、多くの人は「言葉で翻訳する」という働きを思い浮かべるのに対して、言語学者は「言葉で世界を作る」と言われ、「珈琲」という言葉を取り上げて、具体的な説明をされました。「珈琲」は一般的にどう語られるのか、オンラインのクチコミ等を参考にして分析説明をされました。調査は、グーグルマップの喫茶店へのクチコミを調査し、そこで使用される語彙を観察されました。関西の有名な喫茶店を対象に選ばれました。頻出語の1~20位、21~30位を列挙されました。聞きなれた名刺や形容詞、動詞が出てきました(省略)それに対して、専門家は珈琲をどう語るのか、業界人の書いた出版物から調査され、言葉遣いへの特徴を抽出されました。
1.「内面」2.「空間」3.「生き物」4.「作品」5.「重量」6.「他の商品」7.「国名」に分類される言葉を抽出し観察をされました。(具体的な言葉は省略)この結果を紹介されて一般人と業界人との違いを鮮明に知ることができました。この両者の比較検討をするのが、言語学者だとここで漸く分かりかけて来ました。「言語学余談」として、専門家の観点、視点から「言葉のリサイクル」と「わぜ言語」についてもお話がありましたが、専門的で少し難解でした。最後に、「おまけ」として、他のジャンルの表現との比較ー紅茶、ワインーを説明されました。「何を飲むのか?」「珈琲(紅茶、ワイン)をどうする?」「どんな飲み物なのか?(形容詞)」では、共通するものと特徴のあるものが紹介されました。お話は、分かり易い部分と専門的な部分がありましたが、私達は日常使っている言葉に余り関心を持ちませんが、改めて言葉の世界の奥深さ幅広さに目を向けるいい機会になったと思います。最後に岩男先生に拍手を送って御礼にかえました。
(追記)1.「総会」にて、第27~28期(2024.5~2025.4)の会計報告を森岡会計から行い承認されました。2.波多野元三郎様(当会会員、元京都支部支部長、「松下幸之助に学ぶ勉強会」代表)が4月29日に89歳で死去されましたので、全員で黙祷を捧げました。
- 西脇会長の挨拶と講師の紹介
- 2025年度総会で森岡会計から会計報告
- 本日の講師岩男 考哲(いわおた かのり)様
- 講演の様子(前から)
- 講演の様子(後から)
- プロジェクタで詳細の説明






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