亀田様を偲んで

太田吉光

 4月6日に逝去されたパナソニック松愛会会員の亀田利男様追悼の話です。

 亀田様は回転機事業部、掃除機事業部の製造責任者を担当され、工場長から掃除機事業部長、洗濯機事業部長を歴任後に松下電器の品質本部長を務められて、電化、オール松下の製品品質向上と経営に多大の貢献をされました。

 思い出に残るご指導がありました。掃除機事業部では掃除機のファン、モーターを活用し農業、牧畜業、園芸用の噴霧器を生産していました。
キンチョールの会社から濃縮薬液用の噴霧器開発を要望され、私が設計を担当しました。
試作品をキンチョールに持ち込んだ時に同社の社員から指摘されたことを亀田様に報告したところ、素晴らしいご指導をいただきました。

私から「キンチョールさんからクレームがありました。事業部の規程では段ボール梱包で、箱の印刷部分に有色のテープを貼ってはいけないが、透明なテープなら貼っても良いことになっている。
キンチョールさんは、それがダメだと言うんです」と

不満な顔をして報告したんです。亀田様は「君は間違っている、キンチョールさんが正しい。
品質を追求すると何になるか言ってみなさい」と言われました。私が答えられずにいると、
「品質を追求すると品位になる。お客様は当社の製品に対して品位を期待しておられるのだ」と言われました。
そこで、事業部の規程を改訂し、透明テープでも段ボールの印刷にかかっては
いけないことにしました。

 確かに日本の製品は東南アジアなどの製品に比べて一目で分かるほどに品位があります。
さらに製品だけでなく、日常でも品位があるのは尊いことだと考えました。
プロの
アスリートに例をとれば、ルールが品質であり、マナーが品位と言えるでしょう。
ルールを守るのは当然ですが品位のある(マナーの良い)アスリートは愛されますね。

私がパナソニックを退職後に再就職した会社でも、この話をしたら若い社員が感動してくれました。
と言うように亀田様から素晴らしいご指導をいただいたことが忘れられません。

 

コメント

    • kikkawa
    • 2025年 4月 18日

    ※キンチュールは、社名ではありませんが、当時の臨場感を保つため、投稿文章のまま掲載しております。

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