夢中人 アラビア語に魅せられて 飯島紀さん   2016年8月掲載

飯島さんがアラビア語と出会ったのは、1950年京都大学理学部の化学教室に入学し、親御さんからの仕送りでは不十分なためアルバイトで生活費を補っていた時である。その忙しい毎日を慰めてくれたのが、文学部でのアラビア語など中近東古代語の勉強とカトリック西陣教会での要理教室の聴講だった。

この経験が何十年も経って20冊にも及ぶ古代語の執筆へとつながっている。複写技術のないその当時、アラビア語の藤本先生ご自身が謄写版で文字を仕上げておられ、その見事な美しいアラビア文字の筆勢を見せていただくのが楽しみだったそうだ。大学時代にはこのように古代アラビア語に傾倒したものの、 松下電器に入社してからは無線研究所に配属され、古代語とは全く無縁の会社生活を送られた。アラビア語を再び学び始められたのは退職後で、入会したアラビア語学会で知り合った中央大学の佐藤教授と共著の「ネオ・アッシリア語入門(ネオ・アラム語)」(1993年)の出版へと実を結ぶ。65歳の時である。

その後、出版社の「奏流社」「国際語学社」「信山社」から依頼され、「アッカド語~楔形文字と文法」、「アラム語~イエスの誕生、キリスト教の全貌」「ハンムラビ法典~目には目を歯には歯を含む282条の世界最古の法典」「ヘブライ語文法」「古ペルシャ語~古代ペルシャ帝国の碑文を読み解く」 などの本を次々に執筆されている。いずれも現在は使われていない古代中近東の言葉である。パソコンソフトに入っていない古代文字は、手書きで対応されている。

そういうご苦労もありながら、年1冊のペースで20年出版を続けていらっしゃることに、とても驚いた。88歳の今も、朝食後1時間位散歩してからパソコンに向かい、毎日6~7時間執筆活動をされている。お訪ねした時は、改訂版「古代エジプト語文法」を執筆の最中であった。

興味のある方には講義をしますよと仰っていただきましたので、ご希望の方がいらっしゃいましたら、松愛会の東京都支部地区委員までお知らせください。

レポーター:東京都支部 古川 哲朗

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