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第50回 「京都学ぶ会」を開催しました

~ 漆に魅せられて そして 京都について思うこと ~

  ●講   師:     平瀬 力様(漆工芸家)
  ●テ ー マ:     「漆に魅せられて そして 京都について思うこと」
  ●開催日時&場所:  2019年7月22日(月)、ラボール京都・第8会議室
  ●出席者数:      41名

 講師の平瀬 力様は1942年生まれの77歳の漆工芸家ですが、大学を卒業して京都市役所に奉職され、主に観光行政や伝統工芸の分野のお仕事をされました。1980年から漆を塗り始められました。京都生まれですが、ご両親が飛騨高山の出身であり、また京都の蒔絵師親娘との出会いがあり、この世界に入り込まれました。

 まずは漆の不思議さについて話されました。漆黒は「東洋美の象徴」と言われ、深みのある光沢のある色艶が魅力です。漆の木は世界に70余属600種以上ありますが、漆の取れる木のみ「漆の木」と呼んでいます。国産漆が最高ですが、日本の年間使用量が40~50トンで、それの4~5%しか日本では取れません。ほとんどが外国産です。従って大変貴重で高価なものです。漆の木は15年育ててやっと液がとれますが、1本の木から僅か250~270gしか取れず、しかも1年だけしか取れません。漆の特徴として、湿気(室:20~25度/75~80%)で乾燥させます。漆器は、木地を選び、成形、塗り、乾燥、加工(絵付け他)と工程が多いので、商業ベースでは分業されていますが、平瀬様は成形から塗りまでの一貫制作をされており、今では漆の木を育て、漆そのものも採取されようとしています。「japan」は、「漆」「漆器」の代名詞としても知られていますが、日本人がもっと漆(器)の魅力を再認識し、日常生活に取り込んでその良さを愉しんで貰いたいものです。

 後半は京都について思っていることを語られました。ご本人が京都市役所で長年勤めておられたので、その立場からも京都について一家言を持ってておられます。
 まず、現状の京都は騒々しいとのことです。世界1or2位の観光都市として、年間約5400万人もの観光客が訪れます。京都には他所にない宝物や文化を沢山持っています。騒々しいのは京都にふさわしくありません。上賀茂神社近くの橋から見る北山の風景は実に素晴らしく、今までどうして残されてきたかを考え直すことが大事です。市民がしっかりした考えを持ち、「フロー」よりも「ストック」を重視し、守るべきものは守るという気概を持つことが肝要だと訴えられました。京都の市内(街中)に人が住んでいる、また住める街を維持するためには、他所の都市と同じことをしては駄目で、京都らしさをどう残していくかを市民一人ひとりが今こそ真剣に考える必要があると締めくくられました。
 Q&Aでは、大江さんからハワイの話と、波多野さんからは雲ケ畑の自然(森林)の取り組みについて話がありました。

 因みに、今回で、「京都・学ぶ会」が50回目の開催になりました。発足して8年余が経過しました。更に100回を目指して頑張って行きたいと思いますので、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。

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