10 年前の2014年9月27日、仕事中の午後3時頃に、筆者の携帯が鳴った。出ると親しい知人の「ニュース見た!爆発してん!」との怒号がした。これが死者と行方不明者を合わせて63人もの犠牲者を引き起こした御嶽山の大惨事を知ることになった第一報であった。

おんたけロープウェイ鹿ノ瀬駅
噴火時刻は午前11時52分、知人はツアーに参加しての山行であったが午前 9 時過ぎ頃には山頂から下山をし始めていたため、全身に火山灰を浴びながらも無事下山することができた。この日は土曜日で普段は筆者も休みであったため、知人からもツアー参加への強い誘いがあった。しかし筆者にはたまたまこれだけは外せないという業務があり、ツアー参加を断念したことで難を免れることができた。
信州方面へ行く際は中央道をよく利用するため御嶽山を目にする機会は多い。単独峰であり見た目は頂上が平に広がった特徴ある姿、そして民謡にも歌われ親しみを感じる山である。2022 年6月に御嶽山の噴火警戒レベルが1に下げられて以来登る機会を狙っていたが、ようやくその機会を得た。王滝口からのルートはまだ通行規制があるため、おんたけロープウェイ側からの入下山である。

女人堂
ロープウェイ登り口の鹿ノ瀬駅へは 8 時頃に到着、ロープウェイの運転開始は8時30分からで、建物内に入っていくと「切符の販売は8 時15分ごろから始まります。」との案内。ロープウェイは6人乗りの循環式で15分弱で飯森高原駅に着くが、遠くと上空にはあいにくと雲が掛かっている。

一瞬のガスの晴れ間に女人堂より頂上方面を望む
飯森高原駅を8:55 にスタート、ロープウェイの下りの最終便は16:30であるので7時間半以内に戻ってくる必要がある。登山道に入ってしばらくは傾斜のない道が続き10分程で7合目の行場山荘に着くが人気はない。道はここから傾斜が付くがそんなに急でもない。1時間20分程で八合目の女人堂に着く。女人堂と名前が付くからには、昔はここから上は女人禁制であったのであろう。休憩していると一瞬ガスが晴れ頂上方面の視界が開けるときがあったがすぐに元通りになってしまう。

岩肌にへばり付いて建つ石室山荘
八合目で標高は 2500m 程になり森林限界を超えるようになるが、秋の気配はほとんどなくかろうじてナナカマドの赤い実を見るのみである。歩き始めてほぼ3時間弱、岩肌にへばりついた様に立つ石室山荘に到着。そのへばりつきの状態は富士山の山小屋以上である。ここで丁度お昼時、山荘の中で休憩をさせてもらう。
登山道はガレ場の様な所であっても要所要所に木材を使って土砂の流出防止を施してあり非常に良く整備されている。また3000m級の山にしては道の傾斜は緩めであるためにジグザグが少なく直登の所が多い。急なのはせいぜい石室山荘の前後ぐらいである。

二ノ池の淵付近から山頂(左手)を望む
覚明堂を過ぎ二ノ池のお釜の淵に達すると景色が一変。山頂も望めるようになる。大惨事の時には降り積もった火山灰のため、当たり一面モノトーンの世界だったとの話を聞いた記憶があるが、今は火山灰も綺麗に洗い流されてしまっておりその痕跡のかけらもない。
山頂には13:10に到着。残念ながらガスの為視界はせいぜい一ノ池と二ノ池まで。噴火のあった側は風向きのためか全く見通せない。63人の犠牲者の方のご冥福を祈り、また自身の登山の安全を祈念して早々に山頂を後にした。

御嶽山山頂の標識
◆メンバー:S、他2人
◆コース:飯森高原駅8:55~女人堂~石室山荘~13:10 御嶽山 13:25~女人堂~石室山荘~16:00 飯森高原駅
◆所要時間/歩行時間:7時間05分/5時間45分
- 飯森高原駅
- 二ノ池と二ノ池小屋
- 山頂直下のシェルター
- 赤い実をつけたナナカマド




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