生まれてから現在に至るまで、20回引っ越しを経験している。松下に入社するまで、北海道で生まれ育っているが、その間10回、入社後10回引っ越している。 北海道出身というと、北海道のどこですかとよく聞かれる。生まれは岩見沢というところだが、1年と住んでははいない。小学校入学は札幌だが、卒業は釧路で、中学入学は札幌だ。北海道が故郷であって、生まれ育った特定の場所はない。父方は鳥取県から、母方は宮城県から、祖父が子供の頃に北海道に渡ってきている。先祖代々の土地というものもない。 引っ越しの回数だけ見聞は広くなる。加えて学生の頃から「旅」が好きで、沖縄以外全県制覇している。どこかへ行くと、とにかく自分の足で歩き回るのが好きだ。いつまでも記憶に残っているのは、名勝地ではなく、「長崎の市街地で道が細く急斜面の道で、トラックは通れずにロバが荷物を運んでいたこと」「釧路の町外れまで歩いて行くと、一面果てしない草原に見えるが、近くまで行くと水が染み出ている湿地帯であったこと」等々。 旅の果てに、現在の山梨県の甲府盆地にたどり着いた。ちょっと夏が暑いのが玉に瑕だが、果物は美味しい、雨や雪が少ない、台風も滅多に来ない、何よりも、我が家より、標高日本一の富士山、だけでなく、第二位の「北岳（3193ｍ）」第三位の「間ノ岳（3190ｍ）」加えて、「八ヶ岳」を眺めることができる。終の棲家とするつもりだ。

山梨地区　小泉克夫