枚方の施設 第10回 北河内4市リサイクルプラザ 『かざぐるま』

第10回 北河内4市リサイクルプラザ 『かざぐるま』

2008/02/15

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「かざぐるま」 管理棟正面玄関 (右のクリーム色の建物は処理棟)

 枚方市は、今年2月1日からプラスチック容器類の分別収集を開始しました。収集したプラスチック容器類の処理を行う施設が、北河内4市リサイクルプラザ「かざぐるま」です。  「かざぐるま」の名称は、一般公募で選ばれた北河内4市リサイクルプラザの愛称です。「かざぐるま」は、北河内4市(枚方市・寝屋川市・四條畷市・交野市)から分別収集されたプラスチック製の容器類をリサイクルするため、異物を取り除いてペットボトルとプラスチック製容器包装に選別し、圧縮梱包処理する施設です。  2008年4月18日北河内4市リサイクル施設組合の寺西事務局長様と辻課長様にお話を伺いました。

「かざぐるま」 処理棟(クリーム色と水色の建物)

【施設の概要】
  ・所在地    寝屋川市寝屋南1丁目7ー1
  ・面積      敷地4,866㎡、建築2,063㎡
  ・床面積    管理棟3階建(601㎡)処理棟4階建(4,017㎡)
  ・処理能力   53トン/日 約12,000トン/年(260日)
  ・建設費    約22億円 (うち国庫補助金約9億円)
  ・運営開始   2008年2月1日
  ・運営管理   北河内4市リサイクル施設組合
  ・運営費    平成20年度 約3.5億円(4市で負担)

【リサイクル処理工程】
・ 収集車は施設への入出時、計量機で重量を測定する
  ① 収集車はプラットホームで貯留ピットへ投入する
  ② クレーンで受入れホッパに運び、コンベアに乗せる
  ③ コンベアの途中で破袋機で袋を破き、中身を取り出す
  ④ 粗選別機で、振動や風圧で軽量類と重量類に選別
  ⑤ 手選別ラインで、容器包装物と異物に選別 (約33名)
  ⑥ 鉄類は、磁力選別機により取り除く
  ⑦ 容器包装物を圧縮梱包する (1/10の容積に圧縮)

【容器包装リサイクル法】
  容器包装リサイクル法は、平成12年4月から完全施行されています。
この法律は、①廃棄物の3R(Reduce=減らす、Reuse=再使用、Recycle=再商品化)を推進し循環型社会を構築するため、物品ごとに個別に制定された。②家電リサイクル法、自動車、食品、建設リサイクル法等6つの法の中の1つです。

【分別収集の効果】
  プラスチック系ごみは、一般家庭ごみの重量で1割ですが、体積では4割になります。枚方市は、今までは通常のごみと一緒にプラスチック類も焼却していました。
プラスチック系ごみを1トン燃やした場合、約2.7トンのCO2が発生します。 枚方市の年間プラスチック系ごみは、約5,000トンと推定されており、焼却施設から発生する温室効果ガス(CO2)を13,500トン少なくする事が出来、地球温暖化対策と再資源化につながります。又、 ダイオキシン類発生の一因となっている塩ビ系プラスチック類が除かれ、その発生も抑制されます。

【再商品化】
  圧縮梱包されたペットボトルとプラスチック製容器包装は、指定法人「日本容器包装リサイクル協会」が入札で決めた商品化事業者へ引渡し、商品化事業者がパレットや卵の容器、運送用パレット等に再商品化します。

【処理実績】
  2月から4月までの3ヶ月で約2600トンの処理を行いました。その内、約10%が異物でした。空き缶やスプレーボンベ、ライター等も混入しているそうです。皆様の良識ある協力を強く望んでおられます。

【環境保全対策】
  処理工程で発生する悪臭は、施設内と外界を遮断して施設内空気の漏洩を防ぐと共に、各所で空気を吸引して活性炭吸着装置で浄化した上、4階消音室から屋外に排気します。消音室に排出空気測定器を設置して、トルエンとT-VOC(総揮発性有機化合物)を24時間連続測定し、その結果を管理棟前の電光掲示板でお知らせしています。

【見学取材を終えて】
★多くの方が、ごみの分別で一般ごみの量が半減したように感じられていると思います。この大量のプラスチック、埋めても腐らない、燃やせばCO2の発生源となります。上手に廃棄物を処理し地球温暖化や資源の再利用等の問題を解決して行くことを、真剣に考えなければならないと実感しました。
★3F見学通路のガラス越しでは、においも埃も感じませんでしたが、手選別ラインの作業員の方々のご苦労は大変な事と思います。より確実な分別と、きれいなごみにするよう心掛けたいと思いました。

北河内4市リサイクル施設組合「かざぐるま」のホームページ
  http://kazaguruma.or.jp/

※圧縮梱包されたベールは、リサイクル業者の一つである㈱リサイクル・アンド・イコール」様にも引き渡され、物流用のパレットに商品化されます。 この会社の パレット生産工程の概要はこちら です。 

 

第10回続き『㈱リサイクル・アンド・イコール』 容器包装プラスチックのマテリアルリサイクル事業

2008/05/29

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㈱リサイクル・アンド・イコール正門・工場全景

 前回取材の北河内4市リサイクル施設組合(「かざぐるま」)は廃プラリサイクルの第一段階で選別梱包まででしたが、今回取材の「㈱リサイクル・アンド・イコール」は各市が分別収集した「廃容器包装プラスチック」を材料にした物流用のパレットに再商品化する民間の事業者です。
  パレットとは、工場やトラック、コンテナ、倉庫などでの荷役作業を扱いやすくするための台で、運搬の際には台上に荷物を載せ、穴になった部分にフォークリフトやハンドリフトの爪を差し込み持ち上げ運搬して使うものです。
  この事業は循環型社会構築の「大阪エコエリア構想」の参画モデル事業として、大阪府から承認されてスタートしました。
  5月29日(木)㈱リサイクル・アンド・イコールの池埜取締役様と北井広報担当MG様にお話を伺いました。

洗浄機⇒比重分離機

【事業施設概要】
  ・名称     「株式会社リサイクル・アンド・イコール」
  ・所在地     寝屋川市太秦高塚町12番1号
  ・生産品目   物流用のパレット
  ・生産能力   1日約1,000枚(3シフト24時間稼動、65名体制)
  ・廃プラ活用  1日 約43~45トン
  ・事業開始   2005年4月

【リサイクルパレット生産工程】
① 材料の廃容器包装プラスチック(ベール)を自治体から調達します。
② ベールを解砕機に投入し、解梱された廃プラがコンベアに乗ります。
③ コンベアの先では手選別工程となり異物を取り除きます。
④ 自動選別機に時速30kmで移動し、検出器とエアーノズルで軽量類
(PP/PE)と重量類(PS/EPS及び残さ)に選別されます。
※PS/EPSはPSインゴット機で製品化し販売されます(全体の約1~3%)
※残さは圧縮梱包処理され燃料として利用されます(全体の約3~4割)
⑤ パレットの材料となるPP/PE(全体の約5~6割)が破砕機に移動します。
⑥ 次は洗浄機⇒比重分離機⇒脱水機⇒フラフサイロの工程を自動的に移動して製品化前の減容ペレットミルになります。
⑦ 減容ペレットミルは、ペレット計量装置を経て減容品サイロから最終工程のパレット成型機に送られ製品のパレットになります。
⑧ 成型機から自動的に出てきたパレットは手作業でバリ取りし、外観検査後に5枚単位に梱包されます。
⑨ 完成品置き場に置かれて出荷待ちとなります。
以上のパレット生産工程の概略図は こちら です。
※PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)

【環境保全対策】
  工場内は機械の運転音はするが、粉塵・悪臭は極めて少ない。工場の入り口左右に入荷したベールが積み上げてあり、それが臭う程度である。生産工程では乾燥機とパレット成型機が高温の機械であるが、燃焼機関ではないので外気にダイオキシンやCO2が拡散される事も無く概ねクリーンな工場である。
  2005年、2006年、2007年と外部の調査機関が環境調査をしたが「人の健康を害するような化学物質は排出されてない」との結果でした。

【廃容器包装プラスチックの調達】
  容器包装リサイクル法に基づき、自治体が分別収集した廃プラは「容器包装リサイクル協会」を経てリサイクル商品化事業者に引き渡される。但し、事業者は毎年「容リ協会」に入札をして、落札しなければ調達はできない。
【参考】
  ※マテリアルリサイクルとは
  廃プラスチックを燃やすことなく、プラスチックのまま原料にして新しい製品を作る技術で、材料リサイクルとも呼ばれます。プラスチックのリサイクルには大きく3つのリサイクルがあり、マテリアルリサイクルの他にはケミカルリサイクル、サーマルリサイクルがありますが、焼却も行なう他の2つの技術に比べ、マテリアルリサイクルが最も優先順位が高いものとされています。
(一般社団法人 プラスチック循環利用協会:
  http://www.pwmi.or.jp/
  ※容器包装リサイクル協会とは
  容器包装ごみのリサイクルを推進するために、1996年に作られた団体です。容器包装のメーカーはこの協会にお金を払ってリサイクルを委託し、協会はリサイクル業者の認定を行なった上で、リサイクル業務の再委託を行ないます。また、マテリアルリサイクルは他のリサイクル技術よりも優先されることがガイドラインで決められています。
(公益法人 日本容器包装リサイクル協会:
  http://www.jcpra.or.jp/

【見学取材を終えて】
 我々の生活に絶対的に必要なインフラ施設に関して取材をしてきたが、循環型社会が形成されつつあり、全国の市町村での分別収集実施率は缶・ビン及びPETボトルはほぼ100%。紙製容器包装は一般ゴミとして廃棄され実施率は30%と低い。8品目の単純平均で80%(平成17年:環境省)。
 プラスチック製容器包装は63%で分別収集されても商品化の材料として更にその60%しか使えない。その最大の要因は家庭での分別が適切でない事である。我々としては先ず日常生活においてきっちりと正しい分別を励行することがエコライフに繋がると確信しました。(レポーター・金箱)
  ※㈱リサイクル・アンド・イコール URL
     http://www.dinsgr.co.jp/rae/

<リポーター 岸本、冨松、金箱、鬼頭、梅原、大熊、井須、山添、吉川   WP編集:永井

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